
はじめに
Windows Server 2025は2024年11月にリリースされた最新のサーバーOSですが、リリース後に複数の不具合が報告されています。本記事では、確認されている主要な不具合を分類別に整理し、具体的な症状、原因、そして解決策を詳しく解説します。
重大な不具合
1. 256コア超えサーバーでのブルースクリーンエラー
症状: 256個を超える論理プロセッサを搭載したサーバーでWindows Server 2025を実行すると、システムがブルースクリーン(BSOD)を表示してクラッシュする問題が発生します。
影響範囲: 高性能サーバー環境、特にエンタープライズレベルのハードウェアを使用している組織
解決策:
- 2024年11月12日にリリースされた更新プログラムKB5046617を適用
- 一時的な回避策として、BIOS/UEFI設定で論理プロセッサ数を256未満に制限
2. Hyper-V仮想マシンの凍結・予期せぬ再起動
症状: Hyper-V仮想マシンが応答しなくなったり、予期せず再起動が発生する問題
解決策:
- 2025年5月28日にリリースされた緊急パッチKB5061977を適用
- 仮想マシンの設定を再確認し、リソース配分を最適化
起動・インストール関連の問題
3. インストール・アップグレードプロセスの失敗
症状:
- インストールまたはアップグレードプロセスが失敗する、または応答を停止
- サーバーの起動または再起動に3時間以上など、異常に長時間を要する
- アプリケーションが予期せず動作を停止する
対処法:
- 最新のハードウェアドライバーを事前に準備
- インストール前にハードウェア互換性を確認
- セーフモードでの起動を試行
4. 日本語キーボード選択の問題
症状: GAリリース時のインストールメディア(26100.1742ビルド)を使用した新規インストールで、セットアップ時に「日本語キーボード(106/109キー)」の選択に関連する問題が発生
対処法:
- 最新のインストールメディアを使用
- インストール後にキーボード設定を再設定
Hyper-V関連の問題
5. ネスト仮想化環境でのVBS競合問題
症状: 入れ子になった仮想化が有効なHyper-V仮想マシンで、Hyper-Vの役割と仮想化ベースのセキュリティ(VBS)のどちらか一方しか有効にできない
影響: 物理環境では問題なく共存できるが、仮想環境では制限が発生
対処法:
- 用途に応じてHyper-VまたはVBSのいずれかを選択
- 物理環境での展開を検討
6. Azure VM での VBS 起動問題
症状: Windows Server 2025またはWindows 11バージョン24H2を実行するAzure仮想マシンで、7月のWindows セキュリティ更新プログラム(KB5062553)インストール後にVBSが起動できない場合がある
対象: トラステッド起動が無効でレジストリキー経由でVBSが適用されているVM
ネットワーク関連の問題
7. ドメインコントローラー再起動時のネットワーク管理問題
症状: ドメインコントローラーであるWindows Server 2025が再起動されると、ネットワークトラフィックを正しく管理できなくなることがある
発生時期: 2025年4月11日に新たに確認された問題
対処法:
- 再起動後のネットワーク設定を再確認
- ドメインサービスの状態を監視
8. SMB v1共有フォルダ接続問題
症状: 2025年9月のWindows Update(KB5064081、KB5065426)適用後、SMB v1プロトコルを使用した共有フォルダへの接続ができなくなる
影響範囲: Windows 11 24H2、Windows 10、Windows Server全般
対処法:
- SMB v2以上のプロトコルへの移行
- 問題のある更新プログラムの一時的な削除
日本語版固有の問題
9. OpenSSH サーバー機能の日本語版バグ
症状: Windows Server 2025の日本語版でOpenSSHサーバー周りの新機能に関連するバグが発生
特徴:
- 英語版(en-us)をベースとした日本語版(ja-jp)固有の問題
- 他の言語版への影響は未調査
10. Sysprep後のエクスプローラー機能問題
症状: Windows Server 2025でSysprepをかけて初期化し、クローンして利用する場合にエクスプローラー機能が使用できなくなる
再現性: 複数回のテストで一貫して発生することを確認
セキュリティ更新プログラム関連
11. 2025年8月の脆弱性対応
内容: セキュリティの脆弱性CVE-2025-50173の解決により、管理者資格情報を求める要件が追加
影響: 一部の管理操作で追加の認証が必要となる可能性
12. 2025年9月の重大な脆弱性
対象: 深刻度が最高の「Critical」と評価された8件の脆弱性
- グラフィックス カーネルの脆弱性(CVE-2025-55226、CVE-2025-55236)
- Microsoft Office の脆弱性(CVE-2025-54910)
- Windows Graphics コンポーネントの脆弱性(CVE-2025-53800、CVE-2025-55228)
回避策と対処法
基本的な対処手順
1. Windows Update の実行
- 「スタート」ボタン → 「設定」→ 「Windows Update」をクリック
- 「ダウンロードとインストール」をクリックして最新の更新プログラムを適用
2. BIOS/UEFI設定の調整
- PC再起動時にBIOS/UEFIにアクセス(通常はDel、F2、F10、またはEscキー)
- 論理プロセッサ数を256未満に制限(ブルースクリーン回避用)
3. システム監視の強化
- イベントログの定期的な確認
- パフォーマンスカウンターの監視
- 仮想マシンのリソース使用状況チェック
推奨される運用対策
事前準備
- 本番環境への適用前にテスト環境での検証を実施
- バックアップの取得
- ロールバック計画の策定
継続的な対応
- Microsoftの公式発表の定期的な確認
- コミュニティフォーラムでの情報収集
- 社内でのナレッジ共有
まとめ
Windows Server 2025は新機能と改善をもたらす一方で、複数の不具合も確認されています。特に以下の点に注意が必要です:
- 高性能ハードウェア環境:256コア超えのサーバーでは必ず更新プログラムを適用
- 仮想化環境:Hyper-V関連の問題に継続的な注意が必要
- ネットワーク機能:ドメインコントローラーやSMB接続の問題に対応
- 日本語環境:ローカライズ版特有の問題への理解
これらの不具合の多くは、Microsoftからの更新プログラムにより解決されているか、解決予定です。定期的な更新プログラムの適用と、最新情報の確認を継続することが重要です。












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