
エクセルで作業中、何も設定していないのに、セルの文字(数値や計算結果)に取り消し線が表示されて困っていませんか?一瞬取り消し線にまみれた画面を見るとギョッとしますよね。
「F9キーを押すと消えるけどまた出てくる」「計算式のセルに横線が入る」といった症状は、実はMicrosoft 365やExcel 2021以降の新機能が原因です。
今回は、取り消し線が表示される理由と、すぐに解決できる3つの方法をわかりやすく解説します。
取り消し線の正体:「古い値の書式設定」機能とは
2023年8月頃から段階的に導入された「古い値の書式設定(Stale Value Formatting)」という新機能が、取り消し線の表示原因です。

この機能の目的
手動計算モードを使用している際、セルの値が最新でない(再計算が必要)ことを視覚的に警告するため、自動的に取り消し線を表示します。大規模なファイルで古いデータを誤って使用するリスクを防ぐために追加されました。
取り消し線が表示される条件
以下の条件をすべて満たすと表示されます:
- 計算モードが「手動」または「データテーブル以外自動」に設定されている
- 数式で参照しているセルの値が変更された
- まだ再計算(F9キー等)を実行していない
- 「古い値の書式設定」機能がオン(初期設定)になっている
取り消し線が表示される主な原因3つ
原因1:手動計算モード + 古い値の書式設定(最頻出)
症状:数式セルに取り消し線と黄色い「!」マークが表示される
特徴:F9キーで一時的に消えるが、変更するとまた表示される
原因2:条件付き書式による自動設定
症状:特定の条件(「完了」入力など)で取り消し線が表示される
特徴:F9を押しても消えない。条件を満たすと自動表示
原因3:セルの書式設定に取り消し線が残っている
症状:常に取り消し線が表示され、値を変更しても消えない
特徴:計算モードや数式に関係なく常時表示
【すぐ解決】取り消し線を消す3つの方法
方法1:「古い値の書式設定」をオフにする【最も推奨】
この方法が最も確実で根本的な解決法です。
Windows版の手順:
- 「ファイル」タブをクリック
- 「オプション」を選択
- 左側メニューから「数式」をクリック
- 「計算方法の設定」セクションを探す
- 「古い値を含むセル」のチェックを外す
- 「OK」をクリック
リボンから直接オフにする方法(新バージョン):
- 「数式」タブをクリック
- 「計算方法」グループ内の「古い値の書式設定」ボタンをクリック
- オフ(グレーアウト)になったことを確認
💡 一度設定すれば、以降は取り消し線が表示されなくなります。
方法2:計算モードを「自動」に変更する
手動計算モードが不要な場合、自動計算に戻すのも有効です。
- 「数式」タブをクリック
- 「計算方法の設定」をクリック
- 「自動」を選択
ショートカット:Alt → M → X → A
⚠️ 注意:大規模なファイルでは計算に時間がかかり、動作が重くなる可能性があります。
方法3:F9キーで再計算を実行する【一時的対処】
取り消し線を一時的に消したい場合に有効です。
| キー操作 | 再計算範囲 | 用途 |
|---|---|---|
| F9 | すべてのブック全体 | 通常の再計算 |
| Shift + F9 | 現在のシートのみ | シート単位で素早く再計算 |
| Ctrl + Alt + F9 | 依存関係ツリーの再構築+全体再計算 | F9で更新されない場合 |
| Ctrl + Alt + Shift + F9 | すべてのセルを強制再計算 | 計算エラーが残る場合 |
手動計算モードの基礎知識
Excelの3つの計算モード
- 自動計算(デフォルト):セルの値を変更すると即座に再計算される
- データテーブル以外自動:データテーブル以外は自動計算
- 手動計算:F9キー等で手動実行が必要。大規模ファイルで動作を軽くするために使用
現在の設定を確認する方法
「数式」タブ → 「計算方法の設定」をクリックし、チェックマークの位置を確認してください。
条件付き書式で取り消し線が表示される場合
確認方法
- 取り消し線が表示されているセルを選択
- 「ホーム」タブをクリック
- 「条件付き書式」→「ルールの管理」をクリック
- 適用されているルールを確認
削除方法
- 「ルールの管理」画面で対象のルールを選択
- 「ルールの削除」をクリック
- 「OK」をクリック
よくある質問
Q:取り消し線を消すショートカットキーはありますか?
A:Ctrl + 5です。ただし、これは「セルの書式設定」としての取り消し線に有効で、「古い値の書式設定」による取り消し線には効果がありません。
Q:Macでの設定方法は違いますか?
A:基本的に同じですが、一部異なります。
- 「ファイル」→「環境設定」→「計算方法」で設定
- ショートカットはCommand + 5で取り消し線切り替え
- 再計算は同じくF9またはShift + F9
Q:取り消し線が一部のセルだけ消えません
A:以下を順番に確認してください。
- セルの書式設定を確認:Ctrl + 1 → フォントタブで取り消し線のチェックを外す
- 条件付き書式を確認:ホーム → 条件付き書式 → ルールの管理
- 書式のクリア:ホーム → クリア → 書式のクリア
- セル保護を確認:セルがロックされていないか確認
Q:共有ファイルで他の人にも影響しますか?
A:計算モードはファイル単位、古い値の書式設定は個人設定です。
- 計算モード(自動/手動):ファイルに保存され、他のユーザーにも影響
- 古い値の書式設定(オン/オフ):個人のExcel設定なので、各ユーザーが個別に設定可能
原因を特定する診断フロー
Step 1:F9キーを押す
- 消える → 原因①古い値の書式設定
- 消えない → Step 2へ
Step 2:セルに何か入力して条件を変える
- 消える → 原因②条件付き書式
- 消えない → Step 3へ
Step 3:Ctrl + 1でセルの書式設定を開く
- フォントタブで取り消し線にチェックがある → 原因③書式設定
まとめ:状況別おすすめ対処法
| あなたの状況 | おすすめの対処法 |
|---|---|
| 取り消し線が邪魔で不要 | 方法①:古い値の書式設定をオフ |
| 手動計算モードが不要 | 方法②:計算モードを自動に変更 |
| 手動計算モードを継続したい | 方法③:F9キーで定期的に再計算 |
| タスク管理表で活用したい | 条件付き書式で取り消し線を設定 |
重要ポイント
- 取り消し線の正体は「古い値の書式設定」という新機能
- 手動計算モード使用時に、再計算が必要なセルに自動表示される
- 「ファイル」→「オプション」→「数式」でオフにできる(根本解決)
- 計算モードを「自動」に戻すか、F9キーで定期的に再計算すればOK
- 条件付き書式が原因の場合は「ルールの管理」で削除可能
この記事があなたのエクセル作業の悩み解決に役立てば幸いです。快適なExcelライフを!












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