
Excelファイルを開いた瞬間、赤いバーで「セキュリティ リスク このファイルのソースが信頼できないため、Microsoftによりマクロの実行がブロックされました。」と表示されて、大事な業務が止まってしまった──今まさにその状態かもしれません。
- 「昨日まで普通に使えていたのに、なぜ急に?」
- 「締切が迫っているのに、マクロが動かない!」
- 「情シスに聞く時間もない……自分で何とかしたい」
大丈夫です。この記事では、Excelのマクロブロックを1分で解除する方法から、二度とブロックされないための根本対策、IT部門向けの一括対応まで、状況別に解説します。「解除したはずなのにまたブロックされる」「チェックボックスが表示されない」といったうまくいかないケースの原因もすべてカバーしています。
- 急いでいる方へ:状況別・最短ルート早見表
- なぜマクロがブロックされるのか?──Mark of the Web(MOTW)の仕組み
- 【方法1】右クリック→プロパティでブロックを解除する(最速・1分)
- 【方法2】Excelのマクロセキュリティ設定を確認する
- 【方法3】「信頼できる場所」に保存する(定期利用の根本解決)
- 【方法4】PowerShellで一括解除する(IT管理者・上級者向け)
- 【方法5】信頼済みサイトに登録する(社内ファイルサーバー・SharePoint向け)
- OneDrive・SharePoint・Teamsでマクロが実行できない場合
- よくある質問(FAQ)
- セキュリティを保ちながらマクロを使うための基本方針
- まとめ
- 参考:Microsoft公式ドキュメント
急いでいる方へ:状況別・最短ルート早見表
お急ぎの場合は、下の表から自分の状況に合う項目へ直接ジャンプしてください。
| 困っていること | やること | 読む場所 |
|---|---|---|
| 今すぐこの1ファイルを動かしたい | プロパティ→「許可する」にチェック | 方法1 |
| 毎日使うファイルが毎回ブロックされる | 「信頼できる場所」に登録 | 方法3 |
| OneDrive・SharePoint・Teamsのファイル | 「デスクトップアプリで開く」 | OneDriveの章 |
| 共有フォルダ・ファイルサーバーで発生する | 信頼済みサイトに登録 | 方法5 |
| 大量のファイルをまとめて解除したい | PowerShellで一括処理 | 方法4 |
| 会社PCで設定が変更できない | 情シス(IT部門)に相談 | FAQ Q5 |
なぜマクロがブロックされるのか?──Mark of the Web(MOTW)の仕組み
原因は、MicrosoftによるOfficeの既定動作の変更です。バージョン2203以降のMicrosoft 365 Apps(旧Office 365)では、インターネットから入手したファイルのマクロは既定でブロックされるようになりました。この変更は2022年4月に最新チャネル(プレビュー)から段階的に展開が始まり、一般ユーザーの多い最新チャネルには2022年7月末から、企業向けの半期チャネルには2023年1月に到達しています。「ある日突然ブロックされるようになった」のは、お使いのPCにこの更新が適用されたタイミングだったというわけです。
判定に使われているのが「Mark of the Web(MOTW)」です。Windowsは、インターネットから取得したファイルに「このファイルはインターネットから来ました」という見えない印を自動的に付けます。Officeはこの印を見て「インターネット由来のファイル」と判断し、マクロをブロックします。ファイルの中身が安全かどうかではなく、「どこから来たか」で判定しているのがポイントです。
※技術的には、NTFSファイルシステムの「代替データストリーム(ADS)」という機能で記録されるZone.Identifierという情報です。後半のFAQで、この印が付いているかを直接確認する方法も紹介します。
対象となる環境
Microsoft公式ドキュメントによると、この変更の対象はWindows版のOfficeのみで、対象アプリはAccess、Excel、PowerPoint、Project、Publisher、Visio、Wordの7つです(PublisherとProjectは2023〜2024年に追加)。Mac版・Web版・スマホアプリ版は対象外です。
ブロックされるファイル/されないファイル
| ブロックされる(MOTWが付く) | ブロックされない(MOTWが付かない) |
|---|---|
| メールの添付ファイル | ローカルで作成したファイル |
| ブラウザーでダウンロードしたファイル | 「信頼できる場所」に保存されたファイル |
| OneDrive/SharePointからブラウザー経由で取得したファイル | OneDrive同期クライアント経由でダウンロードされたファイル |
| IPアドレス等で接続した信頼されていないネットワーク共有上のファイル | 信頼された発行元によるデジタル署名済みファイル(※Excelアドインを除く) |
| OneDrive同期された既知のフォルダー(デスクトップ、ドキュメント等)のファイル |
【方法1】右クリック→プロパティでブロックを解除する(最速・1分)
赤い「セキュリティ リスク」のバーが表示されているなら、まずこの方法を試してください。個別ファイルへの対応として最も確実な方法で、マクロブロックの大半はこれで解決します。
- ブロックされたファイルを一旦閉じる
- エクスプローラーでファイルを右クリック→「プロパティ」を選択
- 「全般」タブ下部の「セキュリティ」欄を確認
- 「許可する」のチェックボックスにチェック(環境により「ブロックの解除」と表示されます)
- 「適用」→「OK」をクリック
- ファイルを再度開く
この操作でMOTW(Zone.Identifier)そのものが削除されるため、同じファイルを再ダウンロードしない限り、解除は1回で済みます。
この方法が使えない・効かない場合
| 症状 | 原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 「セキュリティ」欄や「許可する」が表示されない | ネットワーク共有上のファイル/既にMOTW解除済み | ローカルにコピーして解除、または方法5:信頼済みサイト設定 |
| チェックを入れても効果がない | ネットワーク共有が「インターネットゾーン」扱いになっている(公式ドキュメントに明記された仕様) | 方法5:信頼済みサイト設定でゾーンごと信頼する |
| 解除後も再びブロックされる | ファイルを再ダウンロードした/グループポリシーで制限されている | ダウンロード履歴を確認、またはIT管理者に相談 |
| .xlam(アドイン)でブロックされる | Excelアドインはデジタル署名+信頼された発行元でも回避不可(2016年のセキュリティ更新以来の仕様) | MOTWを解除するか、「信頼できる場所」に配置 |
【方法2】Excelのマクロセキュリティ設定を確認する
Excelのトラストセンター(旧セキュリティセンター)で、マクロのセキュリティレベルを確認・調整できます。
- Excelを起動→「ファイル」→「オプション」
- 「トラストセンター」→「トラストセンターの設定」
- 「マクロの設定」を選択
| 設定 | 推奨度 | 用途 |
|---|---|---|
| 「警告して、VBAマクロを無効にする」(既定) | 推奨 | 通常はこのままでOK。安全性と利便性のバランス型 |
| 「デジタル署名されたマクロを除き、VBAマクロを無効にする」 | 条件付きで推奨 | 署名運用が確立した企業環境向け |
| 「VBAマクロを有効にする(推奨しません)」 | 非推奨 | すべてのマクロが無警告で動くため危険。恒常的な設定にはしない |
※古いバージョンでは「警告を表示してすべてのマクロを無効にする」など文言が異なりますが、意味は同じです。
冒頭の囲みのとおり、この設定がMOTWによるブロックに効かないのは、判定の順番が理由です。Microsoft公式のフローチャートでは、信頼できる場所→デジタル署名→ポリシー→MOTWブロックの順に判定され、ここで紹介したマクロ設定が参照されるのはそのさらに後です。つまりMOTW付きファイルは、マクロ設定にたどり着く前にブロックが確定します。「設定を変えたのに直らない」場合は、方法1か方法3を併用してください。
【方法3】「信頼できる場所」に保存する(定期利用の根本解決)
定期的に使うマクロファイルがある場合はこの設定が根本解決になります。「信頼できる場所」に保存されたファイルは、MOTWの有無にかかわらず判定を素通りしてマクロが実行されます。
- 「ファイル」→「オプション」→「トラストセンター」→「トラストセンターの設定」
- 「信頼できる場所」をクリック
- 「新しい場所の追加」をクリック
- 対象フォルダのパスを指定(例:
C:\Users\[ユーザー名]\Documents\マクロファイル) - 必要に応じて「このフォルダーのサブフォルダーも信頼する」にチェック
- 「OK」で設定完了後、マクロ付きファイルをそのフォルダに移動
以後、そのフォルダ内のファイルは毎回のブロック解除が不要になります。ただし次の点に注意してください。
- 登録後にフォルダ名を変更したり、ファイルを別の場所へ移動したりすると再びブロックされます(設定変更時は再登録が必要)
- 信頼できる場所に置いたファイルは一切のマクロチェックを受けません。「ダウンロードフォルダごと信頼」のような広すぎる指定は絶対に避け、業務用マクロ専用のフォルダに限定してください。ネットワーク上の場所を信頼できる場所にすることは、Microsoftも非推奨としています
【方法4】PowerShellで一括解除する(IT管理者・上級者向け)
ファイルが大量にある場合は、PowerShellのUnblock-Fileコマンドレットが効率的です。方法1の「許可する」チェックと同じ処理(Zone.Identifierの削除)をコマンドで実行できます。
単一ファイルの解除
Unblock-File -Path "C:\業務資料\売上管理.xlsm"
フォルダ内のマクロファイルを一括解除
Get-ChildItem "C:\マクロファイル" -Include "*.xlsm","*.xlsb","*.xlam" -Recurse | Unblock-File
ネットワーク共有の業務ファイルを一括解除(管理者向け)
$SharedPath = "\\server\shared\業務用マクロ"
Get-ChildItem $SharedPath -Recurse -Include "*.xls*" | Unblock-Fileなお、Unblock-FileはMOTWを削除するだけで、ファイルの安全性を保証するものではありません。出所が確認できているファイルに限定して実行してください。
【方法5】信頼済みサイトに登録する(社内ファイルサーバー・SharePoint向け)
社内ファイルサーバーやSharePointなど「場所ごと」信頼したい場合の方法です。信頼済みサイト(またはローカルイントラネット)ゾーンからのファイルにはMOTWが付与されないため、ブロックを根本的に回避できます。IPアドレスでファイルサーバーに接続している場合や、VPN経由の共有フォルダで毎回ブロックされる場合は、この方法が本命です。
- Windowsの検索バーで「インターネットオプション」と入力して開く
- 「セキュリティ」タブ→「信頼済みサイト」→「サイト」をクリック
- 対象の場所を追加
追加する形式の例:
https://yourcompany.sharepoint.com
![]()
https://yourcompany-my.sharepoint.com
\\server-name.company.local
\\192.168.1.100http://やファイル共有(\\)で始まる場所を追加する場合は、「このゾーンのサイトにはすべてサーバーの確認(https:)を必要とする」のチェックを外してから追加してください。
注意:信頼済みサイトへの登録はOffice以外の場面(ブラウザーのセキュリティ判定など)にも影響する、Windows全体の設定です。Microsoft公式も「これらの場所のファイルはマクロがブロックされないため、誰がファイルを置けるかを厳格に管理すべき」と警告しています。登録は本当に信頼できる社内サーバーに限定しましょう。
OneDrive・SharePoint・Teamsでマクロが実行できない場合
「OneDrive上のファイルだけ毎回ブロックされる」「Teamsで共有されたExcelが動かない」という場合、開き方によってMOTWが付くかどうかが変わるのが原因です。なお、Teamsのチャネルで共有されたファイルの実体はSharePoint上にあるため、Microsoft公式ドキュメントでもTeamsチャネルのサイトはSharePointと同じ扱いと明記されており、対処法も共通です。
| 開き方 | MOTW | 対処 |
|---|---|---|
| ブラウザーでダウンロードして開く | 付く(ブロックされる) | プロパティから解除(方法1) |
| Web画面から「デスクトップアプリで開く」 | 付かない | そのまま使える(最速の回避策) |
| OneDrive同期クライアント経由 | 付かない | そのまま使える(根本解決・推奨) |
つまり、今すぐ動かしたいなら「デスクトップアプリで開く」(Teams・SharePointのWeb画面にも同じメニューがあります)、毎日使うならOneDrive同期クライアントの導入が正解です。デスクトップ、ドキュメント、ピクチャなどWindowsの既知のフォルダーがOneDriveと同期されている場合、そこにあるファイルにもMOTWは付きません。
よくある質問(FAQ)
Q1. ブロック解除は毎回必要ですか?
いいえ。プロパティから解除するとMOTW自体が削除されるため、そのファイルがPC内にある限り再付与されません。ただし同じファイルを再ダウンロードすると新しいファイルに再びMOTWが付くので、その場合は再度解除が必要です。
Q2. MOTWが付いているかどうかを直接確認できますか?
できます。コマンドプロンプトで次のように入力すると、メモ帳でZone.Identifierの中身が開きます。
notepad ファイル名.xlsm:Zone.IdentifierPowerShellでも Get-Content ファイル名.xlsm -Stream Zone.Identifier で同じ内容を確認できます。
「ZoneId=3」(インターネット)または「ZoneId=4」(制限付きサイト)ならブロック対象です。「ZoneId=2」(信頼済みサイト)ならブロックされません。ファイルが見つからないと表示される場合、MOTWは付いていません。
Q3. USBメモリ経由で渡されたファイルはブロックされますか?
MOTWはNTFSの代替データストリームで記録されるため、FAT32/exFAT形式のUSBメモリ上のファイルにはMOTWが付きません(引き継がれません)。逆に言えば、USB上のファイルで「許可する」チェックボックスが見当たらないのは、そもそもMOTWが付いていないからです。それでもブロックされる場合は、トラストセンターの設定やグループポリシーなど別の原因を確認してください。
Q4. 買い切り版のOffice(2019/2021など)でも同じ問題が起きますか?
Microsoft公式ドキュメントによると、この既定動作の変更はMicrosoft 365 Apps(サブスクリプション版)が対象で、Office LTSC 2021やOffice 2019などの永続ライセンス版は対象外とされています。永続版でマクロが動かない場合は、トラストセンターのマクロ設定や保護ビューなど、従来からのセキュリティ設定を確認してください。
Q5. 会社のポリシーでトラストセンターの設定が変更できません
グループポリシーやクラウドポリシーによるシステム管理者の制限です。自力での回避はせず、IT部門に次の対応を相談してください。
- 業務上必要なマクロファイルへのデジタル署名と「信頼できる発行元」の組織展開
- 特定フォルダーの「信頼できる場所」への登録
- ファイルサーバーの「信頼済みサイト」ゾーンへの割り当て(Site to Zone Assignment Listポリシー)
Q6. デジタル署名されたマクロなのにブロックされるのはなぜ?
署名の発行元が、そのPCの「信頼された発行元」に登録されていない可能性があります。トラストセンターの「信頼できる発行元」で証明書を確認してください。なお、Excelアドインファイル(.xlam/.xla)は、デジタル署名+信頼された発行元でもMOTWによるブロックを回避できません。これは2016年のセキュリティ更新(MS16-088関連)以来の仕様で、MOTWの解除か「信頼できる場所」への配置が必要です。
セキュリティを保ちながらマクロを使うための基本方針
マクロブロックは、Emotetをはじめとするマルウェアの主要な感染経路(悪意のあるマクロ付きファイル)を断つための重要な防御機能です。解除方法を知ったうえで、次の原則は守ってください。
- マクロの設定は既定の「警告して、VBAマクロを無効にする」のまま運用する(「VBAマクロを有効にする」への変更は恒常的にはしない)
- ブロック解除は出所がはっきりしているファイルだけに行う。予期していなかった添付ファイルのマクロは、送信者が知人に見えても有効化しない
- 「信頼できる場所」「信頼済みサイト」は必要最小限に絞り、誰がそこにファイルを置けるかを管理する
- 組織的に使うマクロは、デジタル署名+信頼された発行元の運用(またはグループポリシー管理)へ段階的に移行する
まとめ
マクロブロックの正体は、インターネット由来のファイルに付くMOTW(Mark of the Web)です。単発のファイルならプロパティの「許可する」で1分で解除でき、毎日使うファイルは「信頼できる場所」、ファイルサーバーごと信頼するなら「信頼済みサイト」への登録が根本解決になります。どの方法が合うか迷ったら、冒頭の早見表に戻って自分の状況から選んでください。
マクロブロックはセキュリティ上の重要な仕組みですが、正しい方法で信頼できるファイルだけを許可すれば、安全性と業務効率は両立できます。この記事の手順で、止まってしまった業務を安全に再開してください。












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